勤務時間と労働時間の違いとは?計算方法と詳しい具体例まで徹底解説

近年、長時間労働や過労死問題などの影響により、企業における従業員の働き方に注目が集まるようになってきました。
会社に入社して企業側と「勤務時間」や「労働時間」の確認をする際、両者の違いを明確に認識している人はそれほど多くないかもしれません。
ここでは「勤務時間」と「労働時間」の違いについて、計算方法や具体例も合わせて解説していきます。

1.勤務時間と労働時間の違い

「勤務時間」と「労働時間」はどちらも頻繁に耳にする言葉ですが、両者には明確な違いがあります。

●勤務時間:企業の始業時刻から終業時刻までの時間
通常は就業規則に定められています。
始業時刻が10:00、終業時刻が18:00であった場合、勤務時間は8時間となります。

●労働時間:上記の勤務時間から休憩時間を引いた時間
勤務時間が10:00〜18:00で、休憩時間が1時間与えられている場合だと、勤務時間は8時間ですが、労働時間は勤務時間から1時間差し引いた7時間になります。

1-1.労働における時間の考え方

会社で働く際、労働時間には所定労働時間と法定労働時間などの区分があります。

所定労働時間 企業ごとに決めている労働時間(法定労働時間内で自由に設定が可能)
法定労働時間 労働基準法で定められている労働時間(週40時間、1日8時間以内)
実労働時間 使用者の指揮命令に従い実際に労働している時間(休憩時間は含まない)
拘束時間 始業から終業までの実働時間と休憩時間を合わせた時間

上記の法定労働時間とは、実際に働くことができる上限の時間であり、労働基準法で「1週間の労働時間は、週40時間、1日8時間以内」と規定されています。
一方で所定労働時間とは、企業ごとに決めている労働時間であり、法定労働時間の範囲内で自由に定めることができます。

1-2.休憩時間と残業時間の考え方

●休憩時間
休憩時間は労働基準法に規定があり、労働時間に応じて定められています。

労働時間 休憩時間
6時間以下 不要
6時間以上8時間以下 45分以上
8時間超 1時間以上

一般的には、休憩時間に対して企業から賃金が支払われることはありません。
賃金は労働の対価として支払われるものであるからです。

●残業時間
残業は、法的には時間外労働と言われています。
この時間外労働には「法定内残業」と「法定外残業」の2つの種類があります。

  • 法定内残業:所定労働時間を超えているが、法定労働時間を超えていない残業
  • 法定外残業:法定労働時間を超えた残業

支払い賃金の違いとして、法定内残業に対しては所定賃金を支払えば済みますが、法定外残業に対しては所定賃金に一定の割合を乗じた割増賃金を支払う必要があるため、企業側は注意する必要があります。

残業 割増賃金の支払い義務
法定内残業 なし(ただし企業によっては設定されている場合もある)
法定外残業 あり

例えば、就業規則において所定労働時間が1時間の休憩時間を除いた10:00〜18:00までの7時間だった場合、10:00〜19:00まで働いたとしても、この1時間の残業は法定労働時間内の残業ということになります。
よって、残業時間に対しては所定賃金が支払われます。
しかし同様のケースで10:00〜20:00まで働いた場合、法定労働時間の8時間を超えているため、超過分が法定外残業となります。
企業側は、法定外残業の1時間分は割増賃金を支払う義務が発生します。

2.勤務時間の計算方法と具体例

労働基準法には「勤務時間」「労働時間」「休憩」「休日」など一見紛らわしい言葉が並んでいます。
企業側は従業員に正しい賃金を支払う必要があるため、それぞれの言葉を正確に理解して労働時間を計算・管理しなければなりません。
ここでは、勤務時間の計算方法やその具体例について解説します。

2-1.【A】所定労働時間8時間で9:00~20:00勤務の場合

この場合、勤務時間は始業時刻9:00〜終業時刻20:00までの合計11時間となります。
1日の法定労働時間は上限が8時間であるため、12:00〜13:00まで1時間の休憩時間が与えられた場合、18:00以降の時間は法定外残業時間に該当します。
今回の例では18:00〜20:00までの2時間が法定外労働時間となり、割増賃金を支払う必要があります。

勤務時間 a+b+c+d 11時間
所定労働時間 a+c 8時間
休憩時間 b 1時間
残業(法定外残業)d 2時間(割増賃金)

2-2.【B】所定労働時間6時間で9:00~20:00勤務の場合

この場合、勤務時間は始業時刻9:00〜終業時刻20:00までの合計11時間となります。
1日の法定労働時間は上限が8時間であるため、12:00〜13:00まで1時間の休憩時間が与えられた場合、18:00以降の時間は法定外残業時間に該当します。
所定労働時間が6時間であることから、16:00以降の時間は法定内残業時間として扱われます。
今回の例では、16:00〜18:00の2時間は所定の賃金を支払う必要があり、18:00〜20:00の2時間は法定外労働時間として割増賃金を支払う必要があります。

勤務時間 a+b+c+d+e 11時間
所定労働時間 a+c 6時間
休憩時間 b 1時間
残業(法定内残業)d 2時間
残業(法定外残業)e 2時間(割増賃金)

3.勤務時間の管理方法とそれぞれのメリット・デメリット

従業員の出勤や勤務時間を管理する手段はいくつか種類があります。
会社の規模や従業員の数、従業員規模等によって管理の仕方も変わってくるでしょう。
自分の会社にとってどの管理方法が最適なのでしょうか。
ここでは勤務時間の管理方法やそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

●出勤管理表
出勤や退勤、休憩時間を従業員自ら管理表に記録して管理者へ提出します。

  • メリット:従業員側は自分自身で時間を記録するため正確な時間を計算できる
  • デメリット:管理者側は勤務時間の合計を計算する手間や、記録された時間が正しい内容なのか確認する手間がかかる

●タイムカード
専用の機械を使って従業員自ら出勤と退勤をカードに打刻します。

  • メリット:簡単な作業で打刻できるためパソコンに不慣れな方にとっては使いやすい、自動的に労働時間の集計を行うため管理がしやすい
  • デメリット:他人が不正に打刻してしまう危険性や打刻ミスをすると変更に手間がかかる

●エクセル
関数を利用することで勤務時間を計算する方法です。

  • メリット:時間を入力すれば勤務時間が計算されるため、集計がしやすい
  • デメリット:従業員自ら入力作業が必要なためパソコンが苦手な方は入力ミスが起こる場合がある、不正入力が発生する可能性がある

管理者は入力が正しく行われているのか確認する必要があります。

●勤怠管理システム
勤怠管理システムはインターネットを介して正確に打刻時間を管理します。

  • メリット:パソコンやネット環境さえあれば場所を問わず管理ができる、従業員側もスマホやパソコンでシフトの確認ができる
  • デメリット:大きな会社の規模に見合ったシステムを導入する際にはそれなりにコストがかかる
メリット デメリット
出勤管理表 正確に記録できる 確認の手間がかかる
タイムカード 管理がしやすい 変更に手間がかかる
エクセル 集計がしやすい 確認に手間がかかる
勤怠管理システム 管理の場所を問わない コストがかかる

まとめ

最近は労働環境を取り巻く世間の目が一層厳しくなっています。
企業側には、勤務時間や労働時間を正確に計算・管理し、法律で定められた労働時間の中で従業員が安心して働ける環境作りを行うことが求められています。
今回の記事を参考にして、企業ごとの状況に合わせて正確な勤務時間の管理を行ってみてはいかがでしょうか。

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