ダイバーシティの推進によるメリットは?注意点や事例も解説!

ダイバーシティとは、英語で”Diversity”=多様性です。企業経営においては、多様性のある人材を活用して、企業の競争力をアップさせるといった多様性を活かす意味で使われます。会社経営に携わっている方なら、この単語をどこかで聞いたことがあるでしょう。

ダイバーシティを経営に採り入れることは、企業の経営者・従業員ともに大きなメリットがあります。しかし、ダイバーシティを推進するためには、新しい社内制度の整備や社員教育といったプロセスが欠かせません。
当記事ではダイバーシティを推進することでのメリットや注意点、企業の事例をご紹介します。

1.ダイバーシティを推進することで得られるメリットは?

企業経営におけるダイバーシティの推進とは、社員1人ひとりの個性を尊重して、働きやすい体制を作ることです。しかし、ダイバーシティは社員の働きやすさのためで、経営側には利益がないという考えは正しくありません。

ダイバーシティを推進することで、企業は3つのメリットを得ることができます。

1-1.人材確保に繋がる

従来の日本企業は1日8時間で週5日、終身雇用制という雇用形態が一般的でした。社員は会社からの移動・転勤・出張の辞令にも反対できないなど、日本人の働き方は会社に強く束縛される性質を持っています。これでは仕事と育児・介護を両立させたい、ワークライフバランスを重視したいといった方の雇用は望めません。

ダイバーシティを推進することで、社員が働きやすい労働環境を整えている企業と認知されます。求職者にとって魅力的な職場となり、多様な人材が応募することになるでしょう。応募母数も増えるため、企業は優れた人材を確保しやすくなります。

1-2.新しいアイデアが生まれやすくなる

経歴や性格が同じような人材の集まりでは、革新的・創造的な発想は生まれにくいものです。その点、ダイバーシティを推進することにより、年齢・性別・人種・価値観の異なる人材が企業に多く集まります。各人が異なる視点を持っているため、新しいアイデアが生まれやすくなる点が、2つ目のメリットです。

多様な人材が集まることで、1人の出した案を他の1人が膨らませる、さらに別の人間がブラッシュアップする、といった発展性を持つことができます。進めているプロジェクトが壁にぶつかった時も、さまざまな意見を採り入れることで早期に解決することが期待できます。

1-3.企業の評価が上がる

ダイバーシティを推進することでのメリットは、社内の風通しや仕事への取り組み方が改善されるだけではありません。社員の個性を重視する企業風土づくりを行っている、と社外にアピールすることで、企業のイメージアップを図ることができます。

取引先としても、相手企業がダイバーシティを推進しているかどうかは重大な関心事です。社員がすぐ辞めてしまって担当者がコロコロ変わる企業より、長く働く社員が担当者となって密な関係を保てる企業の方が、取引先には好印象となります。

2.ダイバーシティの推進に取り組む際の注意点

ダイバーシティを推進することは、企業にとってメリットばかりではありません。人材が多様化することにより、社内のチームワークが低下したり、情報伝達の齟齬から生産性が落ちたりといったデメリットもあります。事前準備なしに導入することは、企業の経営パフォーマンス低下に繋がることがあるため注意が必要です。

ダイバーシティの推進は、組織のトップによる決定だけでなく、全ての社員が理解して、一丸となって取り組むことが必要です。そのために経営側がやるべき3つのポイントを見てみましょう。

■社員に対するダイバーシティの教育
社員に向けてダイバーシティについて教育し、意識改革を図ることは必須のプロセスです。企業の最前線で働いている社員は、ダイバーシティによって自分たちの働き方がどう変わるのか、懸念を抱いていることがあります。説明不足のまま進めると、のちに軋轢や差別といったトラブルの元になりかねません。
ダイバーシティの推進を検討している段階から、積極的に社員教育の場を設けるようにしてください。多様な人材が入ってくることで、人事制度がどのように変わるのかについても説明する必要があります。

■社員同士のコミュニケーションがとりやすい環境の整備
ダイバーシティを推進する目的は多様な人材の能力を引き出すことですが、それだけに意見の相違は常に起こることとなります。意見の衝突が新たな発想・考え方へと昇華されればよいものの、人間関係の火種となってくすぶる可能性も少なくありません。社員の積極的なコミュニケーションを促進するために、談話室の設置やミーティング・レクリエーションの開催などを行う必要があります。

■人材の個性にあわせた働き方ができる職場環境の整備
ダイバーシティを推進して経営に活かすには、集めた人材の個性を把握しなくてはなりません。その人材はどのような働き方を望んでいるのかを知り、能力を最大に発揮できるように職場環境の整備を行いましょう。

たとえば育児中の社員は、仕事と生活のバランスがとりづらい傾向があります。育児休業制度を整備するだけでなく、短時間勤務や在宅勤務ができる環境が必要です。スキルアップを望む社員には、資格取得のための費用支援制度やセミナー・勉強会といった研修制度を整えると良いでしょう。

3.実際の推進事例を紹介

ダイバーシティを推進することでのメリットや取り組み方を知ると、実際に取り組んだ事例と結果が気になるのではないでしょうか。
最後はダイバーシティによる人材活用を図った企業事例を3つご紹介します。いずれも企業が抱えていた問題点の解決や、働きやすい職場環境作りに成功しています。

3-1.女性や外国人を積極的に採用し、人手不足の解消に繋がった例

運輸業界では、社員の長時間労働と人手不足が大きな課題となっています。愛知県のある運輸系企業では、外国人と女性を積極的に採用することで、この問題の解消ができました。この企業が採った方策は、「短時間勤務での人員確保」と「外国人の管理職採用」です。

女性は結婚・出産・育児といったイベントによりフルタイム勤務が難しく、休職や離職などでキャリアが積みにくい傾向があります。そこで短時間勤務を導入し、どの時間帯でも複数の女性社員が勤務できる環境を整えました。

さらに、同社では東南アジア出身の社員を海外事業部のリーダーとして採用し、海外事業の展開で活躍してもらっています。英語が堪能な人材が取引先との調整を行うことで、新規事業も円滑に進めることができました。海外で働く外国人スタッフに対して、里帰り旅費の補助や定期的な面談といったストレス軽減の支援も行っています。

3-2.高齢者を積極的に採用し、長期雇用に繋がった例

ある製造業を営む企業は、定年なしで高齢者の採用を行っています。採用された高齢者は各人が優れた技術と経験を持っている多能工であり、業務の分配がやりやすいことが強みです。勤務時間や作業工程を調整できるようになり、60代からでも長期雇用に繋がるという結果になりました。

また、20代・30代の社員も採用することにより、世代ごとの役割分担が明確となっています。若手はスピーディーかつ効率的な作業を行い、高齢者は技術承継・人材育成や気配りを行うという役割です。40代などの中間年代はマネジメントに回ることで、各世代が相手を尊重して働きやすい職場環境を作り出しています。

3-3.短時間勤務制を採用し、働きやすさの改善に繋がった例

ファッション通販サイトを運営するある企業は、1日の勤務時間を日中の6時間とする短時間勤務制を導入しています。深夜までの勤務が発生しないため、育児中の女性も働きやすい短時間勤務が可能となりました。

この企業では、業務の多くを自社で完結できる「自前主義」を徹底しました。顧客対応やシステム上のトラブルも自社で解決できるようになり、対応の早さという強みが生まれています。通販サイトを運営する企業としての経営方針を、ダイバーシティにうまく活かした事例と言えるでしょう。

まとめ

ダイバーシティの推進は、企業にとって3つのメリットがある取り組みです。多様な人材が確保できるようになり、さまざまな刺激を受けて新たなアイデアが創出されるようになります。社員を大切にしていると周知されることで、企業のイメージアップも可能です。

ダイバーシティの推進に取り組む上では、社員への教育や社内制度の整備を行う必要があります。経営トップの意向だけでダイバーシティを進めると、コミュニケーション不足や人間関係のトラブルが発生するため注意してください。

ご紹介した3つの成功事例のように、自社の抱えている問題に沿って考えることで、どのようにダイバーシティを推進すれば良いかが見えてくるでしょう。

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