パーソナライズド動画が広げる、動画マーケティングの可能性

Marketing

セールスマーケティング統括部マーケティングテクノロジーグループの小山です。マーケティングテクノロジーグループでは、こちらのブログで、マーケティング業界の最新のテクノロジーを紹介していきたいと思います。今回は、盛り上がりを見せる動画マーケティングの可能性と、欧米で注目を集める「パーソナライズド動画」という最新の動画マーケティングソリューションについて、紹介をさせていただきます。

パーソナライズド動画の登場 ~盛り上がりを見せる動画マーケティング市況の今とこれから~

今、動画市場が急速に盛り上がりを見せています。
2013年動画広告元年、2014年動画元年、そして2016年は動画マーケティング元年ということが言われるようになりました。これまではPCでの視聴が一般的だった動画コンテンツも、スマートフォンの普及により外出先で気軽に見ることができるようになり、より身近なものになってきています。
ある調査では、10代の動画視聴デバイスはスマートフォンがテレビと同水準という結果も出ており、今後もより手軽に、いつでもどこでも再生される動画コンテンツのニーズが高まってくることが予測されます。私自身も、FaceBookやTwitterのタイムラインでシェアされた動画コンテンツを目にしない日はありません。
これだけ、気軽に動画コンテンツに触れる機会があるわけですから、当然、マーケティングの可能性も大きく広がっている状況なのは間違いないと言えるでしょう。

動画マーケティングで先行する欧米では、2013年の段階で市場規模が4000億円を突破、2017年には1兆2000億円を超えると言われています。
日本に目を移しますと、欧米よりまだ規模は小さいものの、確実に流れは生まれています。2013年では市場規模で132億円でしたが、2017年には640億円と、約5倍に拡大すると見込まれています。

こうした動画マーケティングの世界で今最も注目を集めている技術の1つに「パーソナライズド動画」というものがあります。
昨今、国内のマーケティング市場では、「マーケティングオートメーション」に注目が集まり、ひとりひとりの顧客に寄り添ったコミュニケーションの実現、One to Oneコミュニケーションの重要性が叫ばれています。
このOne to Oneを動画で実現しようというのが、「パーソナライズド動画」です。

今年の初め、Facebookから「フレンズデー動画」が配信されました。これは、フレンドと一緒に撮影された写真が各個人に思い出としてフォトアルバム形式で動画再生される仕組みです。動画の中にはユーザーやフレンドの名前も盛り込まれています。これは、ユーザーひとりひとりの思い出をもとにカスタマイズされた、まさに「パーソナライズド動画」と言うことができるでしょう。公開されるやいなや、多くのユーザーが自分の「フレンズデー動画」を生成し、タイムラインにシェアしていました。

koyama_img01

一歩引いてみると、今まで自分のタイムラインに表示された過去の写真をピックアップしてランダムに表示していること、関連するフレンドの名前を動画の中に差し込んでいること、言ってしまえばそれだけの動画です。しかし、受け手は自分だけに編集(パーソナライズ)された動画、という特別感と、過去の思い出や、フレンドとのつながりを想起することによる「個人的な体験とのリンク」により、驚きと感動を覚えたのではないでしょうか。

そして、こうした感動体験をマーケティングで活用することができれば、我々企業が伝えたいメッセージ、感動をひとりひとりに合わせて伝えることができるという点で、パーソナライズド動画はこれからのマーケティングの可能性を大きく広げるテクノロジーであると考えられています。

国内でも、まだ数は少ないながらも効果的な事例が出始めているようです。特に、ブランドイメージが重要で、顧客のライフタイムイベントにもかかわるような商材を扱う業界、不動産や保険といった業界は特に親和性が高く、パーソナライズド動画を活用したマーケティングの動きが活発化してきている状況のようです。
海外では既に多くの企業が採用しており、金融、保険、通信業者など、会員ビジネスで自社商品の料金体系が複雑であるような商材を扱っている場合、顧客それぞれの状況に合わせカスタマイズしたパーソナライズド動画を利用して、個々の契約内容に合わせて説明することにより、成約率・継続率の向上、問い合わせ件数の減少によるオペレーションコストの削減、という両面から非常に有効であるといわれています。
また、自動車業界、旅行、航空業界など、企業のブランドイメージを個人の趣向に合わせてパーソナライズド動画を提供し、ブランド体験を自分ごととして感じてもらう感動体験を通じて、Webページへの再来訪促進、ファン獲得につなげています。

これまでは、主にコンシューマー向けの領域によるパーソナライズド動画の活用を見てきました。
確かにYoutubeの普及やSNSでの拡散効果など、動画は個人ユーザーが視聴するイメージが強いですから、BtoCで効果的であることは容易に想像できます。

 

パーソナライズド動画 BtoB領域での可能性

それでは、BtoB領域でパーソナライズド動画を効果的に活用することはできるのでしょうか。
これまでは、ビジネスの現場で動画を視聴する機会はあまり一般的ではありませんでした。しかし近年、海外のIT製品やクラウドシステムを導入し活用する企業が増える中で、製品・サービス紹介や使い方、最新情報などを動画によって仕入れることが増えてきています。

動画活用が進む欧米では、文字情報と比較してより多くの情報をわかりやすく伝えることができる動画のメリットに着目し、多くの企業が製品紹介やマニュアルなどを動画として提供するようになっています。これはシステム関連など、仕組みを言葉や文字ではサービスの魅力を伝えることが難しい企業にとっても、感覚的にサービスを理解してもらうために有効です。
また、巨大な機器を扱うメーカーなど、商談の場で現物を見てもらうことが難しい商材なども、動画によって実物を見てもらいながら商談を進めることができれば、顧客とイメージを共有しながら自社製品の優位性を伝えることができるのです。

一方で、同じ製品をお勧めする場合でも、顧客の業界や状況などにより、自社の製品に期待する機能、効果がまちまちであることは実際の現場で良くある話だと思います。しかし、各顧客によってプレゼンテーション資料をカスタマイズするような感覚で、1つの商材の動画を製作することは全く現実的ではありません。

そこで、一つの解決策として「パーソナライズド動画」の技術が考えられます。あらかじめ、1つの商材に対して想定される顧客向けに複数パターンの動画を用意しておき、とは言っても全く別の動画を作る必要はありません。ベースとなる紹介動画を作成し、各業界ごとにイメージしやすいような背景、業界に刺さりそうなメッセージを差し込んだり、「特にこの機能が優れています!」という強調箇所を差し替え可能にしておく、といったイメージです。これらを、顧客の業界や関心領域、所在地といった属性情報別にパーソナライズされた動画を、例えば営業担当からメールで配信することで、「この製品はうちの会社にフィットしそうだ」と感じてもらえる確度を向上することができるのです。

まだ日本国内では、動画付きメール自体ほとんど普及しておりませんが、アメリカではメールに動画(パーソナライズされていない)をつけることでWebサイトへの流入率が2倍以上改善するという報告があります。さらに配布される動画が、それぞれの興味関心、状況に合わせてカスタマイズされていれば、、、より効果的な結果が得られることは明らかです。

koyama_img02日本ではなかなか定着しなかったHTMLメールも、ようやく普及してきました。動画メールの普及もそう遠くはありません。
氾濫する情報の中では、いかに記憶に残るメッセージを顧客に届けることができるか、が最も重要です。
顧客ひとりひとりにパーソナライズされた動画でメッセージを伝えることは、マーケティングに限らず、セールスからアフターフォローに至るまで、BtoB購買プロセスのあらゆるフェーズに於いて、大きな可能性を秘めているのです。

DOWNLOADこの記事に関連する資料のダウンロード


PAGE TOP